融資支援の報酬と補助金支援の報酬の違い

今回は融資と補助金の支援業務における報酬金額の上限についての話です。

各種支援業者による金融機関への融資申請支援業務と、行政機関への補助金申請業務がありますが
支援業者が受け取る事が出来る報酬額には違いがあります。
どのような違いかというと

ズバリ融資支援には報酬上限額が法律で規定されています。
補助金にはそういった法律の規定はありません。

どのような法律かというと、
昭和二十九年法律第百九十五号
「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」
(金銭貸借等の媒介手数料の制限)
第四条 金銭の貸借の媒介を行う者は、その媒介に係る貸借の金額の百分の五に相当する金額(当該貸借の期間が一年未満であるものについては、当該貸借の金額に、その期間の日数に応じ、年五パーセントの割合を乗じて計算した金額)を超える手数料の契約をし、又はこれを超える手数料を受領してはならない。
2 金銭の貸借の保証の媒介を行う者は、その媒介に係る保証の保証料(保証の対価として主たる債務者が保証人に支払う金銭をいう。以下同じ。)の金額の百分の五に相当する金額(当該保証の期間が一年未満であるものについては、当該保証料の金額に、その期間の日数に応じ、年五パーセントの割合を乗じて計算した金額)を超える手数料の契約をし、又はこれを超える手数料を受領してはならない。
3 金銭の貸借又はその保証の媒介を行う者がその媒介に関し受ける金銭は、礼金、調査料その他いかなる名義をもつてするかを問わず、手数料とみなして前二項の規定を適用する。

というものです。

つまり、支援業者が受け取れる報酬額は、融資額の5パーセントを超えてはならないという事です。
これは、着手金も含まれる為、仮に着手金5万円申し受けた上で、成功報酬として融資金額の5パーセントを追加で申し受ける事は法律違反、違法行為という事になります。
もちろん、これ以上の報酬設定も当然違法行為です。

法外な報酬を提示しているような支援業者も中には存在するのも確かです。
そういった支援業者は速やかに是正する必要がありますし、依頼される方は、くれぐれもこういった法律の存在を意識頂き、適切な判断で依頼するように心掛けるべきかと思いますね。

古物商許可の要件について

今回は古物商許可の要件についてです。

創業融資等の融資を受けるにあたり、古物商許可を伴う創業をお考えの方も多いかと思います。
中古物を仕入れて商売をする場合には古物商許可が必要となります。

要件としては以下の通りとなっています。

申請場所
・主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係)
申請手数料
・19,000円
必要書類
・許可申請書
・最近5年間の略歴が記載された書面及び住民票の写し(本籍(外国人にあっては国籍等)が記載されたものに限る。)
・欠格事由に該当しないことを誓約する書面
・準禁治産者又は破産手続開始決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書
・未成年者で古物営業を営むことに関し法定代理人の許可を受けていものにあっては、その法定代理人の氏名及び住所を記載した書面
・法人にあっては定款及び登記簿の謄本。また上記の書類は役員全員のもの
・管理者についての略歴書、誓約書、市町村長の証明書、及び住民票の写し(本籍(外国人にあっては国籍等)が記載されたものに限る。)
・URLの使用権限があることを疎明する資料

以上です。

1つづつ説明します。
申請場所、手数料はそのままですので省略します。
必要書類は個人と法人で若干違ってきます。
共通するものとして
略歴書
これは履歴書の簡易版で、リンク先のフォーマットで最近5年間分の履歴を記載します。個人及び会社役員の分と管理者がある場合は管理者も必要です。

・住民票の写し
これはわかりますね。個人及び会社役員の分と管理者がいる場合は管理者の分も必要です。

・欠格事由に該当しないことを誓約する書面
これは誓約書です。リンク先のフォーマットで申請します。個人、会社役員、管理者(支店長など)で違います。

・準禁治産者又は破産手続開始決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書
これは市役所で取得する身分証明書です。これも個人と管理者がいる場合は管理者のものも必要です。

・未成年者で古物営業を営むことに関し法定代理人の許可を受けていものにあっては、その法定代理人の氏名及び住所を記載した書面
これは未成年のみ提出が必要な書面です。説明は割愛します。

・法人にあっては定款及び登記簿の謄本。また上記の書類は役員全員のもの
これもわかりますね。会社定款と登記簿謄本が必要です。

以上、必要書類が多岐にわたりますので、創業準備にあたり、スケジュールには余裕を持って対応を心掛けた方がよいかと思います。

ソーシャルビジネス支援資金の概要

ソーシャルビジネス支援資金について概要説明です。

ソーシャルビジネスとは一般的には
社会問題解決を目的とした事業で、その領域は貧困や差別、環境問題など、多岐にわたります。
最大の特徴は、寄付金などの外部資金に頼らず自社で事業収益を上げることで継続的な社会支援を可能にしている点です。
なのに融資が政府から出る事に若干の矛盾を感じますが、
ソーシャルビジネスでは、一般の企業のように営利を前面に出した事業であることは少なく、資金調達が困難であるという背景がある為、政府によって支援する意義があると言えますね。

本支援金の対象者は、

・NPO法人
・NPO法人以外であって、次の(1)または(2)に該当する方
(1)保育サービス事業、介護サービス事業等(注1)を営む方
(2)社会的課題の解決を目的とする事業(注2)を営む方


(出典:日本政策金融公庫ホームページ、ソーシャルビジネス支援、What’sソーシャルビジネス

融資限度額は担保ありで7,200万円(うち運転資金4,800万円)
担保なしでも融資を受けられる場合があります。

返済期間も他の企業活力強化貸付と同じく
設備資金 20年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金 7年以内<うち据置期間2年以内>
です。
利率は保育サービス事業、介護サービス事業等を営む方の場合他より有利な利率となっています。

この融資を受けられるのは
「NPO法人」または「社会的課題の解決を目的とする事業を営む方」のみですが
逆に該当する場合は、日本政策金融公庫が積極的に支援をしていることから、比較的融資を受けられやすい
と言えるかも知れません。

地域活性化・雇用促進資金の概要

次に
地域活性化・雇用促進資金の融資概要について。

こちらの融資制度は、地域経済牽引事業などによる地域経済の活性化雇用の促進を行うみなさまのお手伝い、とあります。
なので、「地域経済活性化」「雇用促進」がキーワードです。

利用者要件は6つに分類さますが、一般的な利用者要件としては主に以下4つで、
・事業展開関連 (新たに1名以上の雇用創出効果が見込まれる設備投資を行う方
・地方移転関連 (融資後1年以内に、本社を東京(23区)から地方に移転か店舗等を地方に新設か増設する方
・地方版総合戦略関連 (地方版総合戦略により、地方創生に資する事業として地方公共団体が認めた事業を行う方)
・地域未来投資促進法関連 (個別法に基づき都道府県知事の承認を受けた承認地域経済牽引事業計画に従って事業を行う方)

後者2つは要件が厳しい為、前者2つの要件を満たす方が対象となります。

融資用途については特別な要件は規定されていませんので、上記利用者要件に合致し、その為に使う事が事業計画に盛り込まれて入れば問題ないと言えるでしょう。

いずれにしましても、雇用を創出し得る設備投資本社を地方に移転店舗等を地方に新設する等の事業計画であれば、本融資の適用要件を満たす事になります。

企業活力強化資金の概要

次に
「企業活力強化貸付」に属する融資制度について説明します。

こちらの制度も「新企業育成貸付」と同様に
貸付限度額と融資期間に違いはありません。全て同じです。
貸付限度額は全て、7,200万円 (うち運転資金4,800万円)です。
融資期間は全て、設備資金 20年以内 <うち据置期間2年以内>
運転資金 7年以内  <うち据置期間2年以内>
です。

種類は8種類ありますが、創業期に適した融資制度であると思われる種類としてはその内、以下3種類が該当します。

・企業活力強化資金
・地域活性化・雇用促進資金
・ソーシャルビジネス支援資金

まずは
・企業活力強化資金

こちらの融資は公庫HPには合理化等のための設備投資を行う商業関連業種を営むみなさまのお手伝い
と記載されており、キーワードは「合理化」「設備投資」です。
つまり、事業計画上の「合理的」であると客観的に判断できる「設備投資」を行う計画の妥当性が求められます。

また利用対象者要件はいくつかありますが、創業期としての要件に合致する主なものは以下となります。
1:商業振興関連として以下いずれかの業種の事業を営む方

・卸売業
・小売業
・飲食サービス業
・サービス業

・不動産賃貸業(特別法に定める認定を受けた方に限る)

また融資用途としても以下の細かい要件があります。

必要な設備資金および運転資金

・合理化、共同化等を図るための設備の取得(店舗、仕入・配送・販売設備など幅広い用途に利用可)
・セルフ・サービス店の取得
・ショッピングセンターへの入居
・新分野への進出(中心市街地関連地域で事業を営む方に限る)
・販売促進、人材確保(運転資金のみ)
・空き店舗への入居
・地域商店街活性化法関連

不動産賃貸業は特殊なので例外として、
卸売業、小売業、飲食サービス業、サービス業を事業として営む方
且つ
上記に当てはまる用途要件に合致した、「合理的」であると客観的に判断できる「設備投資」を行う事業計画

を有している方

という事になります。やはりいずれにしても

適用者要件合致、用途要件合致、合理的設備投資を行う為の事業計画

がキーポイントとなります。

新企業育成貸付の概要

新企業育成貸付には5つの種類があります。
この融資は「創業期」に利用できる制度となります。

5つとも貸付限度額と融資期間に違いはありません。全て同じです。
貸付限度額は全て、7,200万円 (うち運転資金4,800万円)です。
融資期間は全て、設備資金 20年以内 <うち据置期間2年以内>
運転資金 7年以内  <うち据置期間2年以内>
です。

違いは、その用途です。

【種類と用途】
・新規開業資金
新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方

→「新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方」に限ります。

・女性、若者/シニア起業家支援資金
女性または35歳未満か55歳以上の方であって、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方

→性別、年齢要件が要件になっています。

・再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
廃業歴等のある方など一定の要件に該当する方で、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
1、廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
2、廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
3、廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること

→要するに廃業経験があるが、再起に向けて見込みがあるかが要件となります。

・新事業活動促進資金
経営多角化、事業転換などにより、第二創業などを図る方
1、「経営革新計画」の承認を受けた方
2、「農商工等連携事業計画」の認定を受けた方
3、農林水産業支援サービス業を営む方であって、農商工等連携事業を行う方のうち、3年間で2%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方(注1)
4、「地域産業資源活用事業計画」の認定を受けた方
5、「地域産業資源活用支援事業計画」の認定を受けた方
6、「経営力向上計画」の認定を受けた方
7、中小企業等経営強化法に基づく中小企業等の経営強化に関する基本方針に定める新たな取り組みを行い、2年間で4%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方(注1)
8、技術・ノウハウ等に新規性がみられる方(注1)
上記1~8に該当しない方で、次のいずれかに該当する方
・新たに経営多角化・事業転換を図る方
・経営多角化・事業転換後おおむね5年以内の方

→要件が特定の事業に特化しそれが一定の期間の認定を受ける事が要件となります。

・中小企業経営力強化資金
外部専門家の指導や助言、または「中小企業の会計に関する基本要領」の適用などにより、経営力の強化を図る方
〇次の1または2に該当する方
1、次のすべてに該当する方
経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む)を行おうとする方
自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている方
2、次のすべてに該当する方
「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用している方または適用する予定である方
事業計画書を策定する方

→既存の中小企業で新たに市場開拓等の具体性のある事業計画を策定している事が要件です。

やはり創業期に利用できる融資制度であって、重要な要件に創業計画書と事業計画書の具体性が要件になりますので、事業計画書における事業概要の具体性、予算計画の具体性と妥当性等の要件が重要になってきますね。

一般貸付の概要

日本政策金融公庫の国民生活事業における「一般貸付」について説明します。

一般貸付とは、ほとんどの業種を対象とした融資制度として提供されています。

融資対象
ほとんどの業種の中小企業 (但し、金融業、投機的事業、一部の遊興娯楽業等の業種は対象外)
融資限度額
運転資金 4,800万円
設備資金 4,800万円
特定設備資金  7,200万円
返済期間
運転資金 5年以内 (特に必要な場合7年以内)<うち据置期間1年以内>
設備資金 10年以内 <うち据置期間2年以内>
特定設備資金  20年以内 <うち据置期間2年以内>
※据置期間とは、元金の返済が発生せず、利子のみ支払う期間のことです。
利率(年)
基準利率
※時期により変動する為、リンク先の情報を参照下さい。
担保・保証人
税務申告を2期以上行っている方は、担保を不要とする融資が可能。

一般貸付の融資概要としては上記の通りです。

特徴としては、融資対象が広く、融資金額も比較的高いのはメリットと言えますが、
金利が比較的高い事と、担保や保証人が求められる場合がある事はデメリットとなります。

その為、創業期に利用する融資としては比較的負担大きくなる為あまり向いてないと言えます。